本姉妹 母の家 改装後 2013 

 




本姉妹母の家へ
長女の手で少しずつ改装された後も 時々 
施設の母を見舞いに長女と通っていた頃

東京から離れた駅で降りてデパ地下で食材とsweetsを買って 
母の家で一休み

そこから歩いて施設へ行って 母が疲れない程度にお喋りする
近くの介護施設に入れたのは家事や仕事で忙しい長女にとって 
ラッキーだった

母は昔の話は覚えていてお洒落に気を遣って可愛らしい

施設に入りたての頃は駅近くまで散歩へ出て お茶もできた

小一時間過ごして施設の人に挨拶をして また母の家へ戻って
時間があれば夕飯をつくったり
長女が集めた家具の部屋で仕事の話…  
絵画の歴史の話を愉しむ

長女は描くのではなく絵の組成を調べる専門で話は尽きず 
絵描きは聴く 楽しい時間

2018年に母は軽い風邪をひいて入院
お見舞いへ行くと元気そうで身を起こして
「よろしくお願いしますね」って
長女と絵描きを何度か見てしっかりとした口調で言っていた
 
三日後に空へ

 

何年か続いた母の見舞いがぽっかりと無くなって
絵描きはそれから数ヶ月後  東京を離れることになる


偶然か必然  不思議な節目


木が枝分かれするように











絵紡ぎ物紡ぎ (竹田|大分にて)


works|Olectronica

 

未完本姉妹の三幕目


梅雨の晴れ間に画家の小野さとこさんと

竹田にある「傾く家」へ


近頃は

森ゆにさんから届いた未完本姉妹 二曲目のデモ音源を午前に

ある音楽家から届いた音言を午後に聴きながら

いくつかの絵の仕事を描く連日で

息抜きに半日の筆休め


都市部を抜けて

穏やかな山山の緑を眺めながらトンネルを抜けて

城下町だった竹田

Olectronica のお二人が営む「傾く家」へ着く


本当に家は傾きながら

古い物物と Olectronica の作った物物 を佇ませ

何やらヒソヒソと

物たちの話す声を床や柱に吸い込んでは

傾くことを楽しんでいそうな空間だった


works | Olectronica


隣の工房で未完本姉妹のことをすこし話そうとするものの

絵描きのイネは

しまった

また話すことを何も考えずにただ来てしまったことに気づく

そしてよくあることで 相手と話しながら考え始める


「未完本姉妹のこれまでの全部を知らないままで、このまま具体的なことも知らず何かを作ることもできそう」というKさんが一つ気になった

「隣のおじさん」は実在するのかと聴かれ

「はい。「本姉妹が昔住んでいた家の隣に住んでいたおじさん」というモデルで実在します」

と答える。

三幕目は「絵描きのイネさんが新たに何かを生み出して纏めるのかと」と聴かれたOさんへ

「うーん、そうではない気もする」

と曖昧な返事をする。


「物と絵と、言葉…短くても何か加わるといいかもしれませんね」


そんなフワフワした会話をみんなでしばらくして

来年の予定や「傾く家」でいつか何かできそうな…

展覧会という形でもなく

ここでお互いが試みられることをできればと

話して

ひとまずの今日はこの場所を見る事ができて

よかったと 


竹田を後にする



傾く家


一幕の記憶(南の島)

 


本姉妹五女と絵描きと

幼子の3人で

南の島を訪れたのはいつだったかな


幼子の昔のパパとお祖母ちゃんに会いに



南の島は暖かく

市場、城跡、海の色、紅い花

遠い昔の薄れる記憶



本姉妹五女が

記憶を無くし始めた元祖母に聴いた子供の頃

島の奥へ奥へと逃げたことと

キャンディとチョコレートをもらって

喜んだ話


元祖母は一人で服を仕立てながら元父を育てたと聞く



小さな島と大きな島の哀しい出来事

その島も遡ればもっと昔

周りの小さな島々との間に

哀しい出来事もあっただろう


遡れば  遡れば  遡れば

どの土地もどの人も 強い力と弱い力の狭間で

哀しいことも嬉しいことも山ほど織り積み重なって連なって



記憶をなくす病はもしかしたら

その人は楽になるのかもしれないと

未完本姉妹の間

絵描きはふと思う





大きくなった幼子は

もう昔の父には会わなくていいから

南へ行きたい

南の海と風が呼んでると言っていた

















三幕 音作りへの水面(コサージュもしくは鬼のような風景|suimen)

 




ある音楽家の方へ

二幕に出来た一曲と

「本姉妹の本にまつわる話」を送って数ヶ月の間


絵描きは絵を描きながら考えた


ある音楽家として いつまでも謎の存在のまま

作曲していただくのも良いのか

ある音楽家が望む別の名(数名コラボでも)で

いつもとは異なる曲作りをされるのも良いのか

今なんとなく想う曲 それとも詩|唄を一つ形にしていただき

次の音楽家に繋いで 肩の荷を下ろしていただいた方が良いのか



それとももっとちがう水流はあるのかも



イメージの水面が乱反射

おでこから25cm斜め上あたりに想像を泳がせて

まだ形は留まらず 

それはきっと

三幕を並走して下さっている誰もがそうで

けれどもそうして

一時でも同じ何かを想っているような気がすることは嬉しく


また

本姉妹との記憶に帰ると彼女たちへ

ありがとうとごめんなさいを

絵描きは一人呟きます




音楽家の方に

そのうち遭遇することできるのなら

その辺りの由無し事について

お尋ねできると良いのかも

しれません

未完本姉妹 三幕 絵紡ぎ物紡ぎ




絵描きのイネが大分で出会った 

小野さとこさん(画家)と 

ギャラリー「傾く家」を営む Olectronica のお二人にも 

未完本姉妹を想い描いて頂くこととなりました


satoko ono

https://mokusei9.jimdofree.com/



Olectronica

https://www.olectronica.com/











未完本姉妹 三幕 音音紡ぎ 2021−



私は壊れた急須ではなかった   I was not a broken teapot
未完本姉妹 影の冬光  2010 




しばらく休ませていた絵を描き始めようとすると

休む前の不安や モノをつくり出す怖さのようなものが

またひょっこりと顔を出す

朝 目覚めるとき

夢と現実それとも夢と夢の境目で

やめようか どうしようか

聴こえない声がする

歳を重ねると もっと大らかになるのかと思っていた

楽に描けるようになるのかと思っていた

そうでもなかった

けれど休む前と違うのは

この怖さやよぎる不安を確かにあるものとして

受け止めるというか

諦めるというか

そこから願うことに 変われるのかもしれない



未完本姉妹三幕の始めに、二幕(2014-2020)で森ゆにさんが紡ぎ出した一つの曲をある音楽家へ送る。「本姉妹の本にまつわる話」と一緒に。新たな音楽を作りたい。そう思って描き出してみたものの、ふと気づく、会ったこともないままに大切な宝物のようなものを送ってしまって良かったのかと。どんなにその音楽家の紡ぐ音言が素晴らしくとも。人や風景は自分の眼で会わないと分からない。子供のような作品の一編を託して良いのか、分からない。曲を送って一月が過ぎゆき、そんなことをそわそわと迷い始める。引き受けてもらえるのかどうかも分からないのだけれど。それでも絵は、なった方が良い様に生きるものだということもなんとなく信じている。どのようになってもそれは絵描きではなく、絵が選ぶから。




三幕 音作りへのmemo|Instagram ▶︎   mikan_honn_shimai












本姉妹 長女と母の家







 本姉妹とは 

 絵描きの泉イネが親しくしていた

 本に関わる6人の女性を

 2008年〜2013年の間だけ架空の姉妹として

 モデルにした呼び名です

 長女と母の家は 

 2012年末頃から母が病になったので  

 アンティークと古書好きな 長女の手で 

 すこしずつ丁寧に改装されました










 彼女たちと本姉妹として関わった一幕を閉じた今でも 

 ときどき姉妹やイトコ(役をしてくださった女性たち)と一緒に

 長女と母の家へ訪れ  母を見舞い  他愛のないお喋りを楽しみながら 

 皆でご飯をつくって 仕事や 昔のこと 近頃の話をして過ごします